《ハンブルク市、二人の偉大な芸術家を讃える》 97年11月3日
《オラトリオ「パウルス」 ムジークハレで響く》 彼の没後150年を飾るにふさわしいオラトリオの大作「パウルス」が、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団(NDR)、ミュンヘン放送合唱団によってムジークハレで演奏された。NDRの首席指揮者であるブロムシュテットは、理想的な「楽器」を手中にし、荒々しいダイナミクスと、極めて繊細なニュアンスの両方を実現した。彼には満席のムジークハレの聴衆から、大きな喝采が送られた。 ソリストは全て素晴らしく、ソプラノが、明るく繊細で、どんどん安定していく声のアンジェラ・マリス・ブラージ、代役として急きょ歌ったメゾソプラノ、ビルギット・カルム、テノールは美声のお手本ライナー・トロースト、並びに表現の強い、豊かな声のバリトン、マティアス・ゲルネ。 NDRはその抜きんでた金管奏者を揃え、この上演を完璧で確かなものにした。ブロムシュテットは、徹底してメンデルスゾーンの繊細さを強調してはいたが、合わせてその感動的でさえある生命力、劇的効果を演奏の中にもたらした。 メンデルスゾーンの「エリアス」を聞いたら、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」を思わせるロマン的なものを感じた。僕自身は声楽家であるが、メンデルスゾーンの本領はリートというより、オラトリオにあると思っている。日本でももっと彼のオラトリオ、合唱曲が演奏されればよいと思う。 著者 Cantano |